「奨学金の返済が重くて地方移住に踏み切れない」という声をよく耳にします。でも実は、地方に移住して就職・定住することを条件に、奨学金の返済を全額または一部免除してくれる自治体が全国に急増しています。うまく使えば数百万円の借金がゼロになるこの制度、知らないままではあまりにもったいないです。
■ なぜ自治体が奨学金を肩代わりするのか
地方自治体にとって最大の課題は若者の流出と人口減少です。大学進学のために都市部に出た若者が、そのまま帰ってこない「進学後Uターンなし」問題は深刻です。そこで多くの自治体が「奨学金返済支援」を移住促進の切り札として活用し始めました。若者が奨学金の重さを理由に戻れない状況を解消しようという発想です。制度によっては、大学在学中から地元企業への就職を前提に奨学金を無利子で貸与し、一定期間の在職で返済免除になるタイプもあります。
■ 主な支援制度の種類
【タイプ①】就業型返済支援:地元企業・自治体・農林水産業などに就職し、一定年数(3〜5年)勤務することで、年間上限50万円程度の返済額を補助。鳥取県では最大150万円の奨学金返済補助を設けており、I・Jターン就職者も対象となっています。
【タイプ②】移住・定住型免除:移住して住民登録し、一定期間定住することを条件に奨学金の残債を一括で補助する制度。島根県海士町(あまちょう)では移住者向けの奨学金支援が充実しており、島外から移住した若者が安心して働き続けられる環境を整備しています。

【タイプ③】在学中給付型:地元大学・専門学校に進学し、卒業後に地元に就職・定住することを条件に在学中から給付奨学金を支給。長野県や高知県の一部自治体では、地元の農業・林業・福祉分野への就業を条件に月5〜10万円の給付型奨学金を提供しています。
■ 民間企業との組み合わせでさらにお得に
地方企業の中には、奨学金返済を福利厚生として肩代わりする「奨学金返済支援制度」を設けているところがあります。自治体の補助と企業の福利厚生を組み合わせることで、数百万円の奨学金が実質ゼロになった事例も出ています。就職活動の際は「奨学金返済支援あり」を条件の一つとして求人を絞り込む方法が有効です。
■ 申請のポイント
自治体の奨学金返済支援は、移住・就職のタイミングで申請する必要があり、後から遡って申請できないケースがほとんどです。移住を決める前に、候補地の自治体窓口や移住コーディネーターに「奨学金支援はありますか?」と確認することが重要です。「ふるさと回帰支援センター」(東京・大阪)では、奨学金支援のある自治体を一括して紹介してもらえます。奨学金の重さで移住に踏み切れなかった方にとって、この制度は文字通り人生を変えるチャンスになります。まずは今すぐ、希望エリアの自治体ウェブサイトで検索してみましょう。
地方移住後の生活費削減効果と奨学金免除を合わせると、経済的な自由度が一気に広がります。都市部では月々の奨学金返済と高い家賃のダブルパンチで貯金ができない状況が続きがちですが、地方では家賃が都市部の半額以下になりながら奨学金の返済まで支援される環境が整いつつあります。若い世代こそ、この制度を積極的に活用して経済的基盤を早期に固めることが、その後の人生設計の安定につながるのです。
■ 実際の手続きと注意点

奨学金返済支援制度を使う場合、いくつかの注意点があります。まず、制度利用には**事前の申請**が必要なケースがほとんどです。転勤を余儀なくされたり、制度設定の条件をクリアできなかったりすると支援を受けられなくなることもあります。また、奨学金の種類によって対応の有無が異なり、学位取得後の民間ローンなどは対象外になることも多いです。各自治体の担当窓口で事前に詳しく相談することが重要です。
■ 奨学金+移住支援金で一気に経済的メリット拡大
さらに注目すべきは、多くの自治体が「奨学金返済支援」と「移住支援金」の両制度を並行して提供しているということです。例えば、ある県では移住支援金100万円+奨学金返済補助年間60万円という組み合わせが可能です。これなら数年で奨学金の大部分が消え、さらに移住初期費用までカバーできます。自分の移住先の自治体がどんな制度を用意しているか、必ず事前調査しましょう。
■ まとめ:奨学金は「移住の足かせ」ではなく「きっかけ」に
奨学金返済支援制度は、ここ5年で劇的に充実してきた「隠れた移住促進ツール」です。制度を知らないまま都市で奨学金を返し続けるのか、制度を活用して地方で新しい生活をスタートさせるのか——選択肢があることを多くの人が気づいていません。あなたが抱える奨学金は、実は移住への強力な「きっかけ」になり得るのです。
参考・出典
・鳥取県 若者定住奨学金返還支援事業:https://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=168635 ・島根県 UIターン就職・移住促進:https://www.pref.shimane.lg.jp/life/ijyu/