夜中の2時。コーヒーに口をつけながら無意識に名古屋市のサイトをスクロールしていた僕の指が、ふと止まった。「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ」という文字列が目に入ったのは、正直偶然だった。
いや、偶然じゃないかもしれない。
最近、仕事を辞めて何かを始めたいけど、何をすればいいかわからなくて、毎晩こうやって当てもなくネットサーフィンしている自分がいる。そんな時間に目に飛び込んできた「助成金上限200万円」という文字。画面の明かりが、薄暗いリビングで妙にリアルに感じられて…まさか、これは運命?
いや、でも待てよ。助成金って何だよ。怪しくない?
「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ」って結局何なんだ
調べてみると、これは名古屋市が2022年に設置した、れっきとした公的な中間支援組織だった。名古屋市の公式サイトには「名古屋アーツカウンシルの推進を担う組織」とある。要するに、文化芸術活動をサポートする名古屋市の公式プログラムなのだ。
なるほど、怪しくはない。
でも「文化芸術」って言葉を聞くと、なんだか敷居が高そう。僕みたいな普通の会社員が起業したいって思ってるだけの人間に関係あるのかよ…と思ったけど、実際の助成対象を見て驚いた。
クリエイティブ・リンク・ナゴヤの公式サイトによると、美術・音楽・舞台芸術だけじゃなく、「観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業等と連携した事業」も対象なのだ。これなら、僕が漠然と考えていた「地域に貢献する何か」も当てはまるかもしれない。
3つの助成コースが用意されている
調べていくうちに、この組織が提供している助成には3つのタイプがあることがわかった。
社会連携活動助成A(上限100万円)
これは文化芸術と他分野が連携した事業向け。助成率は対象経費の10分の10以内、つまり最大で全額補助してくれる。継続プロジェクトの場合は10分の9または10分の8になるけど、それでも相当手厚い。
社会連携活動助成B(上限200万円)
同じく連携事業だけど、より大型の事業向け。助成率は対象経費の3分の2以内。つまり自己負担が3分の1必要だけど、規模の大きいプロジェクトが可能になる。
キャリアアップ支援助成(上限30万円)
これが面白い。39歳以下のアーティストや文化芸術団体、アートマネジメント人材の「記録集等作成とその活用」をサポートしてくれる。要するに、ポートフォリオ作成支援だ。
窓の外からは、早朝の新聞配達のバイクの音が聞こえてきた。夜が明けそうな時間帯に、僕は机の上に散らばった資料を眺めながら考えていた。これって、本当に使えるのかもしれない。
審査基準を読み解いてみた
名古屋市の採択結果資料を見ると、審査員からの講評が載っている。これが意外と参考になった。
「多様性、交流、アーカイブ、記憶、再生などをテーマに幅広い団体、個人から申請があり」とあるように、テーマはかなり自由度が高そうだ。「まちづくりや福祉などの担い手からの申請も目立ち」というコメントからも、必ずしも「アーティスト」である必要はないことがわかる。
むしろ重要なのは「社会的な課題に応える意志、明確な協働性といった社会倫理」らしい。つまり、「自分が何かやりたい」だけじゃダメで、「社会にとってどんな意味があるのか」を明確にする必要がある。
これは…結構ハードル高いかも。
でも、逆に言えば、そこさえクリアできれば可能性は広がる。僕が考えていた「地域の商店街を盛り上げる何か」も、きちんと練れば申請できそうな気がしてきた。
実際に申請するとしたら
朝のコーヒーを淹れながら、もし僕が申請するとしたらどんなプロジェクトになるか考えてみた。
例えば、地元の商店街とアートを組み合わせた何か。シャッター街になりつつある商店街に、若いアーティストの作品を展示して、それを見に来た人が商店街で買い物もしてくれるような仕組み。これなら「文化芸術×まちづくり×産業」の連携になる。
でも実際問題として、僕にはアートの知識もネットワークもない。商店街の人たちとのコネクションもない。
あー、やっぱり無理かな…と思いかけた時、キャリアアップ支援助成のことを思い出した。39歳以下で、記録集等の作成と活用。これなら、まずは自分のプロジェクト構想をきちんとまとめることから始められるかもしれない。
「伴走支援」という魅力的な仕組み
もう一つ気になったのが「専門スタッフによる伴走支援」という制度。助成金をもらったら終わりじゃなくて、活動の充実と発信力の強化をサポートしてくれるらしい。
これって、起業したい人間にとってはかなりありがたい。お金だけもらっても、どうやって事業を回していけばいいかわからないもんな。専門スタッフがついてくれるなら、失敗のリスクも減りそうだ。
クリエイティブ・リンク・ナゴヤの事務局は、ナディアパークビジネスセンタービル19階にある。栄の真ん中で、アクセスも悪くない。電話番号は052-211-9761で、平日の午前9時30分から午後5時まで受け付けている。
いきなり申請するんじゃなくて、まずは相談に行ってみるのもありかもしれない。「こんなこと考えてるんですけど、助成対象になりますか?」って聞くだけでも、方向性が見えてくるかも。
起業への新しい入口
深夜のリビングで偶然見つけた情報から、こんなに具体的な可能性が見えてくるとは思わなかった。
クリエイティブ・リンク・ナゴヤは、単なる助成金制度じゃない。文化芸術を通じて社会課題を解決し、名古屋の魅力を高めるためのプラットフォームなのだ。そして、そこには僕みたいに「何かを始めたい」と思っている人のための道筋が用意されている。
もちろん、申請すれば確実に採択されるわけじゃない。2025年度は社会連携活動助成AとBを合わせて6件程度の採択予定だし、競争は激しいだろう。キャリアアップ支援助成も、申請者全体の質が高いという審査員のコメントがある。
でも、挑戦しなければ何も始まらない。
今、僕がすべき3つのこと
夜明けの光が部屋に差し込んできた頃、僕は次にやるべきことを整理していた。
- まずは相談に行く
いきなり申請書を書く前に、事務局に相談して自分のアイデアが対象になるか確認する - 地域のニーズを調べる
「社会課題に応える意志」が重要なら、まず地域が何を求めているかを知る必要がある - ネットワークを作る
一人でできることには限界がある。協働できるパートナーを見つけることから始める
そして何より大切なのは、「なぜそれをやりたいのか」「それによって社会がどう良くなるのか」を明確にすること。審査員の講評を読む限り、そこが一番重視されているようだ。
窓の外では、名古屋の街が新しい一日を迎えようとしている。僕も、新しい何かを始める準備を整える時が来たのかもしれない。
参考リンク