あの朝の空気を今でも覚えている。
2025年2月2日の第36回大会の朝、いつものように早起きして、僕は飯岡の海岸道路を歩いていた。朝8時前だというのに、もうすでにランナーたちがぞろぞろと集まり始めていて、なんとなく胸がざわめいた。「ああ、今年もこの日が来たんだな」って。
そして今、もう来年の第37回大会のエントリーが始まろうとしている。2025年10月1日から受付開始で、開催は2026年2月1日。毎年この時期になると、僕たちも何だかソワソワしてくる。
なぜこのマラソンが特別なのか
旭市飯岡しおさいマラソン大会は、ただのマラソン大会じゃない。僕たちにとって、これは復興の象徴そのものなんです。
2011年の東日本大震災で、僕たちの飯岡地区は甚大な被害を受けた。7メートルを超える津波が襲来し、死者14人、行方不明者2人という尊い命が奪われ、住宅被害は3,827世帯に及んだ。あの日のことを思い出すと、今でも胸が痛くなる。旭市防災資料館の記録によると、震度5強の地震、そして想像を絶する津波被害。飯岡の街並みは一変してしまった。
でも、僕たちは諦めなかった。このマラソン大会は、まさに「震災からの復興をめざし、多くの市民が支える旭市最大のイベント」として続けられているんです。毎年2月第1週日曜日に開催されるこの大会は、地域の結束と復興への意志を体現している。
来年の第37回大会は、旭市20周年記念事業としても位置づけられていて、より一層特別な意味を持つことになる。
「おもてなし」が半端じゃない理由
よそから来たランナーの人たちが口を揃えて驚くのが、僕たちのおもてなしの心です。特に名物の「イチゴのロードサービス」には理由がある。
旭市は千葉県内でも有数のイチゴ産地なんですよ。ストロベリーロードと呼ばれる地域には、数多くのイチゴ農園が軒を連ねている。2月といえば、ちょうどイチゴが最も美味しい時期。地元の農家さんたちが、愛情込めて育てた完熟イチゴを、走っているランナーに無料で配るんです。
「いや、マジでうまい!」って叫びながら走っていくランナーを見ると、こっちまで嬉しくなってしまう。豚汁やお汁粉の無料配布もそう。寒い2月の海風の中を走ってきた人たちに、温かいものを食べてもらいたいという、純粋な気持ちから始まったサービスなんです。
先月の第36回大会でも、2,079人のランナーが参加して、みんな笑顔でゴールしていった。小雨が降る中だったけれど、沿道の声援は変わらず温かかった。
コースの魅力は「平坦」と「潮風」
大会公式サイトにも書いてあるけれど、このコースの最大の特徴は「旭市内の海岸に面した平坦なコース」であること。自己記録を狙いやすいんです。
萩園公園前からスタートして、しおさいスタジアムがゴール。ハーフマラソンなら制限時間は2時間50分と、初心者でも完走しやすい設定になっている。でも何より素晴らしいのは、走りながら九十九里海岸の潮風を肌で感じられること。
僕も何度かコースを歩いたことがあるけれど、海からの風が頬に当たる瞬間、「ああ、ここに住んでいて良かったな」って思うんです。都市部のマラソンでは絶対に味わえない、この開放感。
ただし、折り返しコースなので左側走行は絶対厳守。交通規制も午前8時30分から午後1時40分まで、県道30号飯岡一宮線の足川浜交差点から飯岡漁港入口交差点間で完全通行止めになります。地元の人間としては正直不便だけど、ランナーの安全のためだから仕方ない。
参加しやすい料金設定の裏側
来年の第37回大会の参加費用を見ると、旭市公式サイトによると、ハーフマラソンでも高校生以上5,000円、5kmなら高校生以上4,000円。都市部の大会と比べると、かなり良心的な設定だと思う。
小学生の3kmや中学生なら1,000円、市内の親子参加なら2kmで1,000円。これは地域のイベントとして、できるだけ多くの人に参加してもらいたいという主催者の思いの表れでしょう。
定員も、ハーフマラソンの部が2,300人、5kmの部が1,200人、3kmの部が500人、親子の部が1,000人(500組)と、そこそこゆとりがある。先月の第36回大会の参加者数は2,079人だったから、まだまだ余裕はある感じです。
今年から変わる注意点
来年の第37回大会では、いくつか変更点があります。特に重要なのは、2km親子の部で、子供は大会当日時点で5歳以上小学3年生以下に変更になったこと。
また、5kmの部については制限時間が45分になって、いいおか潮騒ホテル前(4.6km地点)に10時35分関門閉鎖の関門が新設されます。これまでより少し厳しくなったけれど、安全面を考えての措置だと思う。
地元民が見る「本当の魅力」
でも僕が一番伝えたいのは、数字や事実じゃなくて、このマラソンが持つ「温かさ」なんです。
ボランティアの人たちの顔を見てください。みんな本当に楽しそうに、心から参加者を応援している。これは震災を乗り越えた僕たちだからこそ持てる、人とのつながりを大切にする気持ちの表れだと思う。
表彰も各種目1位から8位まで(申込人数によって変更あり)と手厚いし、参加賞のオリジナルロゴ入りスポーツタオルも地味に嬉しい。完走証もフィニッシュ後すぐに発行してくれるから、達成感を味わえる。
そして何より、来年の第37回大会ではゲストランナーとしてアテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずきさんやニトリ女子ランニングチームの皆さんが参加してくれる予定。「え、あの野口みずきさんと同じコースを走れるの?」って思うと、なんだか特別な気分になりますよね。
申し込み方法と注意点
エントリーは2025年10月1日から11月30日まで。インターネットなら「ランネット」か「スポーツエントリー」から。会員登録が必要で利用手数料もかかるけれど、窓口の混雑防止のため、できればネットがいいのだろう。
窓口申し込みなら、教育委員会スポーツ振興課(市役所本庁舎4階)か旭市総合体育館で。ただし郵便振替や電話、郵送、FAXでの申し込みはできないのでご注意を。
地元だからこそ感じる「誇り」
正直に言うと、交通規制で不便になるし、準備や片付けも大変です。でも、全国から集まってくるランナーの人たちが、僕たちの街を「また来たい」って言ってくれる。SNSで「しおさいマラソンのおもてなしが最高だった」って投稿を見つけると、なんだか胸が熱くなる。
震災から14年経った今、僕たちは前を向いて歩き続けている。このマラソン大会は、その象徴なんです。海からの潮風と、地域の人たちの温かい心。それを感じに、ぜひ来年2月1日、飯岡に来てみませんか。
きっと、ただ走るだけじゃない「何か」を持って帰ってもらえると思います。僕たちは、いつでもあなたを待っています。