「うぁぁぁ…これ、本当に地方自治体がやってるの?」
時計は2時、コンビニ弁当を温めている間にスマホで見つけたhinata STARsの公式サイト。レンジの「チン」という音と一緒に、私の常識も音を立てて崩れました。画面に映る宮崎県の取り組みは、東京のベンチャーキャピタルがやっているような本格的なアクセラレーションプログラムそのものだったのです。
宮崎県が仕掛ける「革命」の正体
「日本のひなた」からスターを育てる野望
宮崎県が令和5年度から本格始動させた「hinata STARs(hinata STartup AcceleRation programs)」。正式名称は長いですが、要するに「日本のひなた宮崎でスター企業を目指そう」という、なんとも壮大なプロジェクトです。
デジタル化や脱炭素といった社会課題に対応するため、イノベーションによる新事業創出が不可欠だという県の危機感から生まれた制度。つまり、「このままじゃ宮崎がヤバい」という現実を直視した結果なんですね。
東京の知見×宮崎の地元愛という最強タッグ
事務局を務めるのは、ReGACY Innovation GroupとATOMicaの共同体制。ReGACY Innovation Groupは東京に本社を置くイノベーション戦略のプロ集団で、ATOMicaは宮崎発のコワーキングスペース運営企業です。
これって実は絶妙な組み合わせなんです。東京の最新手法と宮崎の地域密着性が合わさって、「地方だからできない」という言い訳を完全に封じ込めている感じがします。
令和7年度採択企業がヤバすぎる件
5社の顔ぶれが多様すぎて驚く
最新のプレスリリースを見て、正直「マジか…」と声が出ました。令和7年度の採択企業5社の内容が、想像を超えていたからです:
株式会社FREEPOWER INNOVATIONS – トルクエンハンサー技術による省エネ開発とESCOスキーム実証 株式会社VOICE lab. – VRを活用したストーマ(人工肛門/膀胱)ケア学習システムの開発 山﨑愛美華さん – 微生物燃料電池(MFC)の社会実装に向けたニーズ探索と実証 Rink株式会社 – 高気密な国産ひのきバレルサウナの長期定額サービスモデルの検討 株式会社WAKU – 肉用鶏などへのグルタチオン給与が成長に及ぼす影響の包括的検証
個人参加もOKという懐の深さ
注目すべきは、山﨑愛美華さんのように個人での参加もあること。応募要項には「必ずしも法人格を有する必要はなく、起業前でも応募可能」と明記されています。
つまり、「いいアイデアはあるけど、まだ会社にしてない」という段階でも参加できるわけです。これって、地方の起業支援としてはかなり先進的じゃないでしょうか。
4つのプログラムの中身を解剖してみる
1. アクセラレーションプログラム(メイン)
公式サイトによると、車のアクセルを踏むように事業を加速させるプログラム。5ヶ月間の集中支援で、メンタリング、実証実験支援、ネットワーキング、PR機会の提供まで。
要するに、東京のスタートアップ界隈では当たり前の「アクセラレーション」を、宮崎でも本格的にやるということです。地方でここまでやってる自治体、他にあるんでしょうか?
2. 技術検証のマッチング支援
「技術はあるけど使い道が…」という県内外のスタートアップと、「この課題、なんとかならないかな…」という企業を結びつける仕組み。地方だからこそできる、顔の見える関係でのマッチングが強みになりそうです。
3. イノベーションコミュニティ
起業家同士のつながりを作る場。シリコンバレーでも言われることですが、スタートアップの成功にはコミュニティの存在が不可欠です。宮崎でそれを作ろうとしているのが面白い。
4. セミナー・ワークショップ
第一線で活躍する起業家やベンチャーキャピタリストの生の体験談が聞ける。中高生から若手社会人まで幅広い対象というのも、裾野を広げる戦略として理にかなっています。
気になる支援内容の実態
お金は出ないが価値ある「機会」を提供
率直に言うと、hinata STARsは直接的な資金提供はしていません。支援内容は以下の3つ:
- 実証事業の実施から社会実装に関するメンタリング・支援
- 地域事業者や関係者とのネットワーキング支援
- プレスリリースやデモデイなどによるPR機会の提供
「お金くれないのか…」と思うかもしれませんが、実はこれって結構合理的なんです。補助金をもらって終わりじゃなくて、本当に事業を成長させるための「つながり」と「知見」を提供する方が、長期的には価値があるかもしれません。
年間5件という狭き門
採択件数は年間5件程度と、かなり厳しい選考です。審査基準は「革新性」「将来性」「実現性」「持続性」の4つの観点。
でも考えてみると、5件って絶妙な数字なのかもしれません。多すぎると一社一社への支援が薄くなるし、少なすぎるとインパクトが出ない。質の高い支援を提供するための現実的な数字なんでしょうね。
過去の実績を追ってみると
令和5年度の3社から始まった物語
01Boosterのサイトで確認できる令和5年度の採択企業:
- 株式会社スーパーワーム(代表:古賀勇太朗)
- 株式会社HATSUTORI(代表:服部かおる)
- 株式会社ベルコード(代表:大西将也)
「スーパーワーム」って名前からして、昆虫食関連でしょうか。SDGsの文脈で注目される分野ですし、宮崎の農業県としての特色を活かした事業なのかもしれません。
着実に規模拡大している現実
令和5年度は3社、令和6年度は5社、令和7年度も5社と、着実に実績を積み重ねています。これって、制度として定着してきている証拠じゃないでしょうか。
単発で終わる地方創生事業が多い中、3年継続して運営されているのは評価できます。
地方創生の新モデルとしての意味
従来の企業誘致から脱却
昔の地方創生って、工場誘致とか大企業の支店を持ってくるとか、「外から持ってくる」発想でした。でもhinata STARsは違います。地元の人材や資源を使って、革新的な事業を「内から生み出す」発想なんです。
これって、デジタル時代ならではの地方創生モデルだと思います。物理的な立地より、アイデアと実行力の方が重要な時代ですからね。
宮崎県の危機感が半端ない
なんでここまで本気なのか考えてみると、やっぱり地方の現実があると思います。人口減少、高齢化、産業の空洞化…。従来の公共事業や企業誘致だけじゃもう限界がある。
だから、イノベーションで新しい産業を生み出すしかない。その切迫した危機感が、この制度の本気度に表れているような気がします。
参加を検討している人へのリアルなアドバイス
向いている人の特徴
調べてみて分かったのは、この制度は誰にでも向いているわけじゃないということです。
向いているのは:
- 本気で事業を成長させたい人
- 宮崎県という地方から全国・世界を目指す気概がある人
- 資金調達の目途を別途つけられる人(直接的な資金提供はないため)
- コミュニティ活動に積極的に参加できる人
逆に、「とりあえず補助金がほしい」とか「のんびり事業をやりたい」という人には向かないでしょうね。
応募前にやっておくべきこと
もし応募を考えているなら、個別相談会への参加をお勧めします。プログラムの詳細や、自分の事業アイデアが適しているかどうか、直接相談できるからです。
それと、過去の採択企業の事例研究は必須です。どんな事業が評価されているのか、傾向を掴んでおくと有利だと思います。
デジタル時代の地方創生を目撃している感覚
既存の枠組みを超えた取り組み
調べれば調べるほど、hinata STARsの設計思想が練られていることが分かりました。単なる補助金バラマキじゃなくて、本格的なアクセラレーションプログラムにしたのは秀逸です。
地方自治体がここまでやるのは珍しいし、東京のスタートアップ界隈の手法を地方に持ち込んだ先進事例だと思います。
コミュニティの持続可能性
公式サイトを見ていて感じたのは、単発のプログラムじゃなくて、継続的なコミュニティづくりを重視していることです。
起業家同士のつながり、先輩起業家からの学び、支援企業との関係…。こういう「生態系」があってこそ、継続的にスタートアップが生まれてくるんでしょうね。これは長期的な視点に立った戦略だと思います。
私が感じた制度の光と影
光:本気度とクオリティ
正直、最初は「また地方のよくある起業支援か」と思ってました。でも、運営体制、審査基準、支援内容…全てが本格的です。東京でやっているアクセラレーションプログラムと遜色ない内容になっています。
影:スケールの課題
一方で、年間5件程度の採択で、本当に宮崎県の産業構造を変えられるのかという疑問もあります。スタートアップの成功確率を考えると、この規模で十分なインパクトが出るかどうか…。
ただし、これは「始まったばかり」ということを考えれば、まずは質を重視して基盤を作る段階なのかもしれません。
最新動向:10月1日のキックオフイベント
令和7年度プログラムが本格始動
最新のプレスリリースによると、10月1日にATOMica宮崎でキックオフイベントが開催されます。
参加無料で、採択企業が技術・アイデアを紹介するそうです。VRを使った医療教育システムから、微生物燃料電池、ひのきバレルサウナまで…。なんだかワクワクしませんか?
まとめ:地方から始まる新しい物語
3年間で見えてきたもの
hinata STARsについて徹底的に調べてみて分かったのは、これが単なる起業支援制度ではないということです。宮崎県の産業構造を根本から変えようとする、本気の実験なんです。
令和5年度から3年間継続して、着実に実績を積み重ねている。採択企業の事業内容も多様で革新的。運営体制も本格的。これは間違いなく、地方創生の新しいモデルケースになっていると思います。
「日本のひなた」から本当にスターは生まれるか
年間5件という少数精鋭で本当に変わるのか、成功したスタートアップが宮崎に残るのか、課題はまだまだあります。でも、少なくとも「やってみる」姿勢は高く評価したいと思います。
何より、地方自治体がここまで本格的にスタートアップ支援をやっているという事実が、他の自治体にも良い影響を与えそうです。
読者の皆さんへ
もしあなたが革新的な事業アイデアを持っていて、地方から世界を目指したいと思っているなら、hinata STARsは検討する価値があると思います。お金はもらえませんが、それ以上に価値のある「つながり」と「機会」が得られるかもしれません。
来年度の募集は、おそらく令和8年8月頃に始まると予想されます。興味のある方は、公式サイトをチェックしておくことをお勧めします。
「日本のひなた」から、次のユニコーン企業が生まれる日を、私は楽しみに待っています。
参考リンク: