想像してみて欲しい。僕が大分県日田市の天領まつりで「日本遺産子どもガイド」なるものに申し込んでみたんだ。
「無料だし、面白そうじゃん」
軽い気持ちで豆田まちづくり歴史交流館で受付を済ませて、指定された時間に咸宜園跡に向かった。そこで待っていたのは、着物を着た小学生だった。
「こんにちは!今日は咸宜園のご案内をさせていただきます」
いやー、マジで面食らった。僕みたいなオッサンが小学生から歴史を学ぶことになるとは思ってもいなかった。しかも、その子の説明がびっくりするほどしっかりしてるんだよ。人生、何が起こるかわからんもんである。
そもそも日本遺産って何さ?調べてみたら結構すごいやつだった
まず、日本遺産制度について調べてみたんだが、これが思ってた以上にちゃんとした制度だった。文化庁が2015年から始めたもので、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを認定するというやつだ(文化庁:日本遺産)。
つまり、単独の文化財を評価するんじゃなくて、「ストーリー」として地域全体の歴史を見ていくってわけ。なるほど、これは面白い視点だな。
で、日田市が認定されているのが「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源-」というテーマ。咸宜園跡を中心に、豆田町などの教育遺産が含まれてるんだそうだ。しかもこれ、日本遺産認定第1号なんだって(日田市公式サイト)。最初っからすごいところに来ちゃったもんだな。
咸宜園の歴史、思ってたより複雑だった
咸宜園について調べてみると、これがけっこう複雑な歴史を持ってる。儒学者の廣瀬淡窓という人が1805年に私塾を開始したのが始まりで、最初は「桂林荘」という名前だった。そこから「成章舎」「桂林園」と場所や塾名を変えながら教授を続けて、1817年に現在の場所に移転して「咸宜園」と命名したんだそうだ(文化庁:咸宜園跡)。
つまり、1817年は移転・命名の年であって、私塾自体はもっと前から始まってたってわけね。歴史って、調べてみると意外と複雑なもんだな。
で、この咸宜園が当時としてはかなり画期的な教育制度を持っていた。身分・年齢・学歴を問わない「三奪法」なんてのを導入してて、まさに平等主義の走り。明治30年まで存続して、全国から約5,000人もの門下生が集まったんだから、相当なもんだよね。
小学生ガイドの本格度が半端なかった
で、その咸宜園を案内してくれるのが小学生なわけだ。対象は日田市内の小学校4年生から6年生。着物を着て、決められたコース(咸宜園跡コースと豆田町コース)を観光客に説明してくれるんだ(文化庁:日本遺産子どもガイド)。
僕が参加したのは、天領まつりの期間中の13時からのツアーだった。事前に受付で申し込んで、時間になったら集合場所に行くシステム。しかも参加無料なんだから、太っ腹というか、本気度が伝わってくる。
「咸宜園って名前、知ってますか?中国の詩経から来ていて、”ことごとくよろし”っていう意味なんです」
なんて説明されちゃうと、こっちは真剣に聞かないわけにはいかないだろう。それにしても、自分の小学生時代を思い出すと、歴史なんて教科書で勉強するだけで、こんなふうに人に説明するなんて想像もできなかった。まあ、説明する相手もいなかったけどね。
この子たちの話を聞いてると、廣瀬淡窓の教育理念とか、咸宜園の建物の特徴とか、けっこう詳しく知ってるんだよ。「ここが寮があった場所で、全国から生徒が集まってきてました」なんて説明されると、なんだか江戸時代にタイムスリップしたような気分になってくる。
研修の中身をのぞいてみたら、大人顔負けの本格派だった
後で調べてわかったんだが、この子どもガイドになるためには、年間を通じて本格的な研修があるらしい。1回目の研修会では、和綴じ体験や秋風庵講話、日本遺産のガイダンス映像視聴なんかをやるそうだ(文化庁:研修会報告)。
そして何回も研修を重ねていって、最終的には咸宜園班と豆田町班に分かれて、現地でのガイド練習をするんだとか。年間を通じて複数回の研修会があるって聞いたときは、正直びっくりした。大人でもこんなに綿密な研修受けたことないよ。
でも、それだけやってるからこそ、あの自信に満ちた説明ができるんだろうな。僕なんかがいきなりやらされたら、絶対に「えーと」「あの」「その」って言葉のクッションだらけになっちまう。
研修内容も、ただ歴史を覚えるだけじゃなくて、和綴じ体験とか実際に江戸時代の技術を体験できるようになってるのも面白い。体で覚えた知識って、きっと忘れにくいんだろうな。
他地域との比較で見えてくる日田市の本気度
他の地域でも似たような取り組みはあるのかなって調べてみたけど、日田市みたいに本格的に小学生をガイドに育成してるところは、そんなに多くないみたいだ。
ただ、類似の取り組みとして、佐賀県多久市の「孔子の里ジュニアガイド」や佐賀市の「子ども恵比寿ガイド」なんかがあるらしい。日田市の子どもガイドたちは、これらの団体と交流したり、バス研修なんかもやってるみたいだから、結構本気で取り組んでるんだなってわかる。
世界遺産登録を目指してるってのも、日田市の特徴だろう。水戸市、足利市、備前市と協力して、「近世日本の教育遺産群」として世界遺産登録を目指してるらしい(教育遺産世界遺産登録推進協議会)。これが実現すれば、子どもガイドたちの活躍の場ももっと広がるんだろうな。
まあ、世界遺産になったら観光客も増えるだろうし、子どもたちも今以上に忙しくなっちゃうかもしれないけどね。
制度の運営方法、意外としっかりしてた
この子どもガイド制度、最初は偶然出会えるもんだと思ってたんだが、実際はけっこうしっかりとした運営体制になってる。開催日程は事前に決まってて(天領まつりやおひなまつりなどのイベント時)、開催時間も決まってる(13時〜15時など)。
参加は無料だが、当日受付または事前申込制で、受付場所も決まってる(豆田まちづくり歴史交流館など)。所要時間は約30分程度の定型コースで、咸宜園跡コースと豆田町コースの2つがある。
子どもたちだけじゃなくて、サポーターの大人も付き添ってるから、安心して参加できる。文化庁の報告を見ると「子ども達は、緊張した面持ちでしたが、本番では元気よくガイドできました」なんて書いてあって、微笑ましいよね(文化庁:天領まつり報告)。
制度の効果は?数字じゃ測れない価値がありそう
具体的な数値とかは公表されてないけど、考えてみればわかる。こんな経験をした子どもたちは、歴史に対する興味も深まるだろうし、プレゼンテーション能力も身につく。それに、観光客から直接「ありがとう」って言われるわけだから、自信にもなるよね。
実際、僕だってあの子たちの説明を聞いて、咸宜園のこともっと詳しく知りたくなっちゃったし。これが子どもガイドの効果ってもんじゃないかな。観光客にとっても、子どもから説明されるってだけで印象に残るもの。大人のガイドさんとは違った新鮮さがある。
それに、地域の歴史を子どもたちが学ぶことで、郷土愛も育まれるんじゃないかな。自分が住んでる町の歴史を詳しく知ってる子どもって、そう多くないだろうし。
課題もあるよね、当然のことながら
でも、完璧な制度なんてないわけで。まず、参加できるのが日田市内の小学生に限られるってのが、ちょっと狭いよね。他の地域からも参加できたら、もっと広がるんじゃないかって思う。
それと、年間を通じた研修ってのも、子どもたちにとってはけっこうな負担だろうな。勉強との両立とか、保護者の協力も必要だろうし。でも、これをやらないとあのレベルのガイドはできないんだろうなってのもわかる。
あと、着物を着てのガイドってのも、暑い夏とか寒い冬は大変そうだ。まあ、それも含めて体験なんだろうけど、子どもたちの体調管理は気をつけてもらいたいもんだ。
参加する観光客側の心得?まあ、温かく見守ってやってほしい
観光客の立場から言わせてもらうと、子どもガイドの説明を聞くときは、多少の間違いがあっても温かく見守ってやってほしいと思う。完璧を求めちゃダメだよね。一生懸命頑張ってる姿勢こそが大切なんだから。
それに、子どもたちに質問するときも、あんまり難しいことは聞かない方がいい。研修で習った範囲内で答えられることを聞いてやれば、子どもたちも自信を持って答えられるし。
事前申込制ってのも、最初は面倒だなって思ったけど、実際はそんなに大変じゃない。当日受付もあるから、気軽に参加できる。むしろ、きちんと運営されてるからこそ、質の高いガイド体験ができるんだろうな。
教訓というか、気づいたこと
結局、僕がこの制度を体験して思ったのは、歴史って本当はもっと身近なものなんだってこと。教科書で勉強する遠い昔の話じゃなくて、今もこうして誰かに伝えられて、新しく生まれ変わってる。
小学生が歴史の案内人になるっていうのは、一見すると無理があるように見えるけど、実はすごく理にかなった取り組みなのかもしれない。子どもたちにとっては学びの場であり、観光客にとっては新しい発見の場になる。
それに、子どもの視点から見た歴史って、大人とは違った角度があって面白い。大人だったら当たり前だと思って説明しないようなことも、子どもは素直に疑問に思って調べてくる。そういう新鮮さが、この制度の魅力なんだろうな。
僕らができることって何だろう?
まず、こういう取り組みがあることを知って、応援してやることが大切だと思う。SNSで紹介したり、実際に足を運んだりして。
それから、自分の住んでる地域でも、子どもたちが地域の歴史を学べるような機会があるかどうか、ちょっと考えてみてもいいんじゃないかな。日田市の真似をしろってわけじゃないけど、地域の歴史を次の世代に伝えていく方法は、他にもいろいろあるはずだ。
最後に、読者のみんなに言いたいこと
日田市に来る機会があったら、ぜひこの子どもガイドのツアーに参加してみて欲しい。事前申込制だけど、当日受付もあるし、参加無料だし、子どもたちの頑張りを直接見られるのは貴重な体験だと思う。
歴史って、やっぱり現地で肌で感じるもんなんだよね。それを子どもたちが教えてくれるっていうのが、この制度の一番の魅力かもしれない。大人のガイドさんとは違った、純粋な視点から見た歴史の話を聞けるんだから。
まあ、僕なんかが偉そうに語っても説得力ないかもしれないけど、あの子たちの真剣なまなざしを見たら、日本の歴史ってまだまだ捨てたもんじゃないって思えるようになるはずだ。
それに、子どもたちの頑張りを見てると、なんだか自分も頑張らなきゃなって気持ちになってくる。歴史を学ぶのに年齢は関係ないって、あの子たちが教えてくれたような気がするんだ。
参考リンク