小千谷市片貝への移住で知る、二十歳の四尺玉に「片貝町民一同」と並ぶ名前|中学卒業で付けた一生の会名

公開日: 2026-10-09
小千谷市片貝/中学卒業の会名を二十歳の四尺玉に添える町/①一生の名前/②成人への祝福/③玉送りの担い手

「想いを込めた花火1発毎に、コメントが放送されてから花火が打ち上げられます。」

新潟県小千谷市、片貝町煙火協会の案内です。夜空に光が開く前に、送り主の言葉を聞く時間があります※1。

二十歳の祝いなら、祝うのは家族や同級生。花火に名前を添えるのも、その人たちだと私は思っていました。

ところが2026年、片貝の二十歳の正四尺玉に添えられた言葉は「祝二十歳・悠幸会/片貝町民一同」。中学卒業のときに付けた会の名と、町民一同の名が、一つの玉に並びました※2。

では、なぜ二十歳の祝いに、町民一同が名を並べるのでしょうか。

答えは、中学卒業で名を付けた同級会の祝いを町の人が見守り、まつりが止まった年にも成人の花火に祝福を返し、いまも町内の組が玉送りに加わっているからです。

この記事では、自治体と国が発表している一次資料を読んで見えてきた、小千谷市片貝の秋を、中学卒業の名付け、中止の年にも返った成人への祝福、町内の組も加わる玉送りの3つの柱でたどります。モノサシは一つだけ。花火に添えた名前や言葉に、どんな応答が返るか。締めくくりに、私の見立てを置きます。

小千谷市片貝では、中学卒業の同級会に一生の名を付ける

一つ目の柱は、同級生が自分たちの祝いに使う名を、自分たちで決めることです。片貝中学校を卒業するとき、同級生みんなで同級会の名称を考えます。その名前で初めて花火を上げるのは、二十歳のまつり。新潟県の2021年の取材には「一生の名前となるので大人たちはほとんど名付けに介入しません。」とあります※3。

会の名前は、片貝中学校の体育館にも掲げられています。意味や願いを込めた文字は、生徒たちが自分の手で彫ります。最初の卒業生の会名は「和好会」。平和のありがたさから「和」を、級友との友好を願って「好」を組み合わせました※3。

当時、最新の卒業生として載ったのが、令和2年度第74回卒業生の「悠幸会」でした。込めた願いは、長い年月がたっても、この仲間でいたいということです※3。

その名で上げる花火に向けて、同級会は積み立てをします。成人、厄年、還暦と、人生の区切りごとにみんなの花火を用意する。片貝を離れた人もつながりを保ち、まつりの日には帰省して、喜び、祈り合います※3。

2021年、二十歳の花火から8年がたったUターン者の一人は、「自分たちのお祝いで上げているのにそれを温かく見守ってくれる人がいる。」と振り返っています。町で「あの時の!」と声をかけられることが、そのときも続いていたそうです※3。

同級会の花火も、子どもの誕生祝いや結婚祝いも、片貝では浅原神社に奉納します。家族の健康への願いや、故人をしのぶ思いも、個人や企業の名前で申し込む花火に載ります。赤ちゃんへ向ける言葉も、打ち上げ前のコメントに入ります。例は「祝○○誕生、みんなに愛されるカワイイ女の子になぁれ」です※1。

一生の名前/同級会/積み立て。卒業を迎える同級生が、田んぼの見える教室で名付けを考える小さな後ろ姿。
図1 一生の名前(※3)

小千谷市片貝では、まつりが止まった年にも成人へ祝福が返った

二つ目の柱は、まつりが止まった年にも、町の人が祝いの花火に応えたことです。2020年に片貝まつりが中止となり、個人が節目の花火を上げる機会もなくなりました。そこで片貝花火サポーターズ倶楽部は、まつり以外の日に上げる「ロングラン奉納煙火」を始めました※4。

ロングラン奉納煙火では、6月15日の最初の個人奉納から、10月末までに120件の申し込みがありました。町外の人も奉納でき、全国からの支援とともに花火が上がりました※4。

この打ち上げは、日を事前に知らせず、当日の10分前に号砲を鳴らしました。それを聞いた近所の人は、神社や花火の見える場所まで出てきます。打ち上げる側には「いつも楽しませてもらっているよ、ケガをしないでね!」と声がかかったそうです※4。

片貝まつりは2021年も中止となりましたが、11月6日、令和2年度の成人「兎龍会」と令和3年度の成人「晴葉会」が合同で玉送りをしました。花火の合図で歩き始めると、近所の人が見守る中、成人のかけ声が町内に響きました※5。

玉送りの最終地点は浅原神社です。先輩から「新型コロナウイルスなどで大変な状況でよくがんばった!」と声がかかり、目に涙を浮かべる成人の人もいました※5。

その後、片貝まつり名物のアナウンスとともに、それぞれの会の花火が上がりました。成人たちは「上がれ、上がれ」と声をあげて見上げます。打ち上げが終わると、会場から「おめでとう」という声と拍手が返りました※5。

成人の花火/玉送り/おめでとう。町の人と成人の小さな後ろ姿、神社へ続く道と秋の夜空に開く花火。
図2 成人の花火(※5)

小千谷市片貝で、町内の組も二十歳の会と玉送りに加わる

三つ目の柱は、二十歳を迎えた会とともに、町内の組も玉送りに加わることです。2026年9月12日、片貝まつりでは20歳の同級会が町内を歩き、神社へ花火を届けました。玉送りの会名は、2021年に卒業生の名前として載った「悠幸会」です※2。

玉送りは、神社へ奉納する花火を運ぶ行事です。古式玉送りでは、花火玉の入った玉箱を山車に載せ、そろいの半纏を着て町内を回ります。唄うのは「木遣り」。大きな材木を運ぶときに、力を合わせる掛け声から始まった唄です※6。

神社へ向かう玉送りの担い手には、同級会のほか、各町内の若者や子どもたちもいて、約30の団体が町内を練り歩きます※1。

この日の玉送りには、同級会と並んで、町内それぞれの組も参加しました※2。

町内の組では、中学生を中心にお囃子コンクールへ向けて練習し、地域の若者から教わる伝統があります。まつりの謎を解く「鍬とスコップ」の刊行物には、片貝に嫁いだ人や移住者から「ああ、そういうことだったのね〜」という声がありました※3。

9月12日の古式玉送りには、片貝小学校の職員も地域を学ぶ研修として加わり、地元の文化を体験しました※7。

同じ日の夜、20歳の会が上げたのはハッピー大スターマイン。二十歳の正四尺玉も上がりました※2。

四尺玉そのものにも、町との関わりがあります。片貝煙火工業は、会社の象徴である四尺玉を「片貝の花火を愛する町民の皆様と共に作り上げた」と記しています※8。

玉送りの担い手/同級会/町内の組。田んぼに囲まれた町の道を、無地の玉箱を載せた山車とともに進む玉送りの行列。
図3 玉送りの担い手(※2)

私の見立て|小千谷市片貝は、中学卒業の会名を二十歳の四尺玉に添える町

花火に添えた名前や言葉に、どんな応答が返るか。一生使う会名を決めるのは同級生で、祝いを見守るのは町の人たちです。まつりの中止でも、成人への「おめでとう」は止まりませんでした。越してきた人には、まつりの謎を解く冊子が手がかりになります。

私の見立てはこうです。小千谷市片貝は、中学卒業で付けた会名を、町民一同と並べて二十歳の四尺玉に添える町です。

2026年9月12日、二十歳の四尺玉が上がりました。玉に添えられた言葉は「祝二十歳・悠幸会/片貝町民一同」です※2。

四尺玉に添える/会名/片貝町民一同。秋の夜空の大きな花火を、田んぼのそばから見上げる町の人たちの小さな後ろ姿。
図4 四尺玉に添える(※2)

小千谷市を数字で見たい人へ|人口・交通・冬・住まいの要点

片貝のまつりのそばで暮らす計画には、日々の移動と仕事、冬の家の管理も重なります。市全体の規模と、相談時に確かめたい要点を置きます。

小千谷市の規模 2026年9月末現在
人口 31,508人 ※9
世帯数 12,993世帯 ※9

人口と世帯数は市全域の住民基本台帳の数で、片貝地区だけの数や国勢調査とは異なります。小千谷市の地域情報も、暮らしの大きさを考える入口になります。

移住支援金は、2026年度の案内で単身60万円、2人以上の世帯100万円。18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき100万円を加算します。移住直前の10年のうち通算5年以上、東京23区に住むか、東京圏の対象地域から23区へ通勤していたことなどの移住元の条件と、就業・テレワークなどの条件があります。申請は転入後1年以内、申請日から5年以上の居住意思が必要です。受付は2027年2月26日まで。転入前に市へ相談する案内です※11。

空き家のリフォームは、市外から来る子育て世帯、または県外からの転入者などが対象。市内業者による50万円以上の工事に、費用の4分の3以内、上限100万円を補助します。申請時70歳未満、転入前2年間市内に住所がないことなどの条件があります。着工前に申請し、交付決定後に工事を始めます。2026年度の受付は12月28日までです※15。

家賃補助は、転入時45歳未満のU・Iターン就職者などが対象。週30時間以上の正規雇用などの条件があり、家賃の2分の1以内で、単身は月額最大15,000円・最長2年、夫婦は月額最大30,000円・最長3年です。転入から1年以内の申請と、申請日から5年以上の定住意思が必要。2026年度の受付は12月28日までです※16。

制度の額や受付期間は年度と予算で変わります。ここでは2026年10月9日に確認した要点を記しました。個別の対象条件と残りの予算は、市のU・Iターン支援室へ確かめてください。

出典リンク集

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